スマートフォンの急速な普及
2012年から2013年にかけて急激に普及し、2014年2月現在には半数以上がスマートフォンを保有している。特に10代・20代では8割を超えている。
スマートフォンの普及により、子どもからシニアまで誰もが簡単にインターネットを利用できるようになった。コミュニケーションや情報収集・発信の手段が大きく変化し、スマートフォンは社会生活においてなくてはならないものとなってきている。
リテラシー不足により生じている様々な問題
モバイル端末の普及の速さに対し、人々へのリテラシー教育が間に合わず、知識や経験不足から様々な社会問題が生じやすい状態である。特に学校で情報教育を受けていない世代は、リテラシー教育の機会そのものがなく、本人の興味度合いや自助努力に依存している状況である。
1)情報過多による混乱
必要な情報が様々な情報の中に埋もれてしまい、課題の発見や理解、意思決定などに悪影響を及ぼしている。中には誤った情報、デマ、ポルノ、残虐・暴力的など不適切なコンテンツも含まれ、情報の取捨選択スキルの必要性が高まっている。
この画像はアムステルダムのFoamギャラリーにて開催中のグループ展「What’s Next? The Future of the Photography Museum」でのErik Kesselsさんの作品。24時間以内にFlickr(写真共有サービス)にアップされた写真をすべてプリントアウトし、情報に溺れる感覚を表現したという(100万枚相当)。
2)情報モラル欠如
コミュニケーション機会の増大により、特にソーシャルメディア上で情報モラル欠如による問題が多発し、本人だけでなく、親や知人、企業への社会的なダメージへ発展。個人情報の保護や自己情報コントロールなど、情報モラル育成の必要性が高まっている。
・誹謗中傷や差別発言、モラル欠如な画像の公開
・意識的、無意識的な情報漏洩(本人、他人を問わず個人が特定できるプライベートな画像や情報を公開)
・LINEイジメ(特定の人を仲間外れにするなど)
・著作権、肖像権侵害(他人を判別できる画像をメディアに上げるなど)
スマートフォンなどで使える無料通話アプリ「LINE(ライン)」を悪用した中高生らのいじめが問題視されている。
3)情報格差(デジタルデバイド)
スマートフォンの普及により情報の入手がさらに容易になったため、リテラシーの差がそのまま情報格差に繋がる。特に現在の社会人やシニアの世代は学校教育で情報教育を受けておらず、また教育を受ける機会自体も少ない。そのためデジタルデバイドが一層進み、社会参加の機会喪失にも繋がっている。
下記は「社情303 (H25新課程)高校社会と情報」目次であるが、これだけみてもしっかりとした情報教育がなされていることがわかる。
出典:http://www.jikkyo.co.jp/mokuji/130025.html
1章 情報社会
1 情報と情報社会 2 社会の変化と個人の責任 3 情報社会の問題 4 メディアとその特徴 5 メディアと広告 6 メディアの選択 7 個人情報とその保護 Supplement コンピュータの発達と構成
2章 コミュニケーション
1 コミュニケーション 2 メールの利用 3 ネットワーク 4 共通の取り決め 5 インターネットの仕組み 6 Webページの閲覧とメールの仕組み 7 インターネットのサービス Supplement 社会の中の情報システム 8 合意形成 9 クラウドコンピューティング Supplement 人に優しい情報技術
3章 情報安全
1 個人による安全対策 2 組織による安全対策 3 安全のための情報技術 4 暗号化 Supplement PLUS 暗号化の仕組み 5 法規による安全対策 6 知的財産権の概要と産業財産権 7 著作権 8 著作物の利用
4章 ディジタル化
1 ディジタル情報の特徴 2 静止画像の扱い 3 数値や文字の表し方 4 音声のディジタル化 5 色のディジタル表現 6 画像のディジタル化 Supplement PLUS 動画と立体表現 7 圧縮の仕組み 8 さまざまな計算
5章 問題解決
1 問題を解決するには 2 情報の収集 Supplement 検索と論理演算 3 情報の整理と管理 4 分析のための工夫 5 関数と統計 6 表とグラフの活用 7 分析の実際 8 問題解決の実践 Supplement 論理的な文章構成 Supplement 表現の工夫 9 プレゼンテーションの方法 10 Webページによる情報発信
誰もが簡単にインターネットを利用できるようになったが、リテラシー教育が追いつかず、結果として様々な社会問題を生じている
→社会全体のITリテラシー向上が急務